リスクを取らないリスク

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久しぶりに興味深い本を読んだ。

「日本の財政赤字、少子高齢化、人口減少が同時に進むと、円安が進行して、年金も減額されていく。そのようなリスクが予測できた中で、自分はこれまでその対策をきっちり取ることができたでしょうか?」と、作者からこのように問いかけられる。

普通に考えれば、現行の年金問題は子どもの数が年寄りより増えない限り改善されず、減額か支給年齢が上がっていき、今よりもっと長く働くことになることは確定している。
そもそも働きたくても働ける状況にあるかどうかもわからない。
不確実な未来に対して、何かアクションを起こしているか?
投資するなら日本か?海外か?それは何故か。その理由を実に理路整然と説明してくれる。
投資だけではなく、生き方全般に通じる。

例えば、テレビで年金問題について識者にコメントを求めたとしても、当たり障りのない話に終始して、私たちはこれからどうしたらいいのでしょうか?みたいなかたちで結んで終わりになるだろう。
何十人集まって議論したところで、何も解決しない。
そうではなく、作者は今ある問題がここまで複雑になったのは、こういう背景があり、それに対して考えられるリスクはこうで、改善するにはこうしたらいいと、論理的に解説してくれる。
Amazonのレビューに、そんなこと言ったって、何年か前の経済に対する予測は外れたじゃないかとコメントしている人が、それこそ本質を捉えていない思考停止した批評だ。
未来を予測することは誰にも不可能。
人間はもともとリスクを後回しにしたがる生き物だ。
考えられるリスクに対して解決策を考え、実際にアクションを起こす。

リスクを取ることがリスクであると同時に、リスクを取らないこともリスクだということを忘れてはならない。

ちなみに作中でも触れていた作者の運営しているファンドを見てみたけれど、良さそうだけど信託報酬が実質2.42%と割高で、ちょっとそのリスクは取れないかな・・・。